社内備品とうなぎパイ

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アイスブレイクと上司

先日、同じ部署で2年上のM先輩(女性、廃墟好き)が神妙な面持ちで私に近づいてきて、今まで聞いたこともないほどのひそひそ声で「ちょっと、話があるんだけど…」と話しかけてきたので、あ、この人妊娠でもしたのかな、と思った。

弊社が今空前の出産ラッシュで、今年生まれた子どもの数は5人、みんな子ども同士が仲良く同級生となった。ついでに言うと結婚ラッシュでもあり、今年に入って結婚報告をした社員は7人にも及ぶ。全社員数が70人に満たないので、10%以上の人間が未婚から既婚になったことになる。社内全体が常にお祝いムード、行き交う出産祝い、新婚旅行の計画、幸せが伝染しているかのようなこの状態、そして恩恵に被れていない私。もう一度言わせてほしい。私、恩恵に被れてない。せいぜい風邪菌が伝染したくらい。

まあ私はさておいて、そんな流れが社内にできているので、先輩もまさか…! と思った次第である。

M先輩は私と十分距離をつめてから、「Perfume好き?」と変わらずひそひそ声で聞いてきた。なんだそのアイスブレイク。新卒入社で営業として働き続け3年、アイスブレイクが苦手で苦手で仕方がなく悩んでいましたが、ある日天啓のように「自分にとってどうでもいいことをさも重要なことのように話しかければいいのでは?」と気づき、エブリデイどうでもいい話を探し続けてきた私だけど、何の前触れもなく繰り出される「Perfume好き?」のどうでもよさはちょっと突き抜けてるな…そんなどうでもいい話挟まないとやってられないくらいすごいカミングアウトが? と思っていたら、まさかのそのどうでもいい話が本題で、要は、まったく仲良くない、というかむしろどちらかと言えば苦手な上司(男、小太り)からPerfumeのコンサートに誘われたので、Iさん(私の名)も共に生贄となってほしいというお願いだった。

今やファンクラブに入っていても入手困難と言われるPerfumeのコンサートチケット。それを4枚も当ててしまった上司。なぜPerfumeのファンでもなんでもない先輩が誘われたのか、真相はわからないしあまりわかりたくないが、私以上に真相なんてわかりたくない先輩はできるだけ無害な人材、かつPerfumeが好きそうな人材をがむしゃらに探し求め、私にたどり着いたのだという。あまりにも恐れ多いお話。いつものほほんとしている先輩の顔が珍しく若干引きつっている。

「コンサート、いつなんですか…?」
「言いづらいんだけど、クリスマス…なんだよね…」





上司、どうした? と思わずにはいられなかった。





最高を求めて
終わりのない旅をするのは
きっと僕らが生きている証拠だから
Oh YEH 現実に打ちのめされ倒れそうになっても
きっと前を見て歩く Dream Fighter




というわけで、今年のクリスマスは会社の人たちとPerfumeのコンサートに行ってきます。